かかびろぐ

大学3年生から書いてます

惰性

世間がコロナだ自粛だと喧しくなってから約半年が経った。

就活やインターンに明け暮れると思っていた大学三年生の夏はどうやら怠惰と惰眠で終わるかもしれないぞ、とぽかんと天井を眺めて思う。

「コロナが落ち着いたら」なんて定型文は既に聞き飽きているのに、大学は今年はもう再開しないと決定したらしく、もともと少なかった学問への意欲はとうとうどこかへ消え去ってしまった。中学高校や各企業は少しづつ再開しているというのにどうしてこうも社会は大学生に厳しいのだろうか。

正直医療体制が整っている日本で若者として暮らしている自分たちは相対的に見れば影響は少ないだろ、と日々増え続ける感染者の数字を見て思う。

いいや、もうどうだっていいや。考えることに飽きたんだ。自分がこんなこと考えてつぶやいたところで社会は1mmも変わるわけないし。そんなことを思いながらあくびしてベッドに寝転ぶ。

そういえば今日は何曜日だっけ。ごみを出さなきゃな。

この半年で勉強意欲以外にも曜日感覚というものがなくなってしまった。単に外に出ないからだが、ごみ捨てさえしていないとなると相当長い間引きこもっている気がする。

アルバイトが正常に機能していたらきっともう少しはマシだったんだろうな、と己の責任は放棄され再び考えることをやめた。次のごみの日まであと二日か、忘れないようにメモでもしておこう、と思いついたものの布団から起き上がることさえ面倒になってやめた。

頭ではわかっているが体が動かないことが最近増えた。

ごみもそうだが、オンライン授業と呼ばれるただの録画は日に日に溜まっていく一方だ。それに三年生ともなれば就活だインターンだ院進だのをやらないと社会のレールから外されるらしいから自分で調べて参加しないといけない。別にその社会のレール外を歩む方法は聞いたことあるが、それを成すだけのやる気が今のところどこにも見当たらない。何せごみを出すことすらままならないのだからできるわけないだろ。レールを歩くために典型的な大学生らしい行動をする必要があるが、もう考えるだけで吐き気がしてくる。モラトリアムとして学生生活を延長したくなるがそれもそれで何かしら行動を起こさないといけない。

ああ、面倒だ。いい加減にしてほしい。

今何かしらやるべきなのはわかっているがどうもやる気が出ない。興味がわかない。

知り合いの中学の同級生は働いていて結婚して子供までいるそうだ。

自分がこうもそういった現実と離れた生活をしていると、同級生の人生が海外での出来事か何かのように思えてくる。自分は一年半後の就職すら嫌がっているのに同級生は三年前に就職しているんだぞ。意味が分からん。

 

そういえば課題の提出期限が迫ってなかったかしら、と気づき学内システムを覗く。たしか期日はまだだったとは思うが、、。

どうやら二日後の夜までに三つ課題があるらしい。時間はあるな。今日はやらなくていいか。

ああ。

覇気がない生活。

ぽっかりとした時間。

物が散在する部屋。

シンクに食器は重なり、洗濯機もその口から服があふれている。

勉強机にも数日前のコップが残っている。

ただそれさえどかすほどの心の余裕はない。

自分に辟易する。

 

どこか遠くへひとり消えてしまいたかった。

東北だとか広島だとか京都だとか、そういった誰も自分を知らない場所にいたいと願った。

自分にのしかかるこの塊や現実から逃げられたら。

そう思っては時間が過ぎていった。

 

以前は好きだった音楽や本も今はただ癪に触るだけだ。

鬱屈とした毎日は怠惰な時間と惰眠に費やされている。