東京にふらっと行けるぐらいの場所が良い
そうすればきっと寂しくなくて、適度に孤独で、美しい夜も汚い景色も、手軽に見つけられるんだ。
「東京」って名前がつく大学ならどこでも良かった。喉から手が出るほど欲しかったはずの生活は、どこまで行っても「僕」の延長線だった。
あの人に会いたい、少しだけでいい。新幹線を使うくらいなら別に会わなくていい。乗り換えが1回で済むなら、何かを話したいわけでもないが、少し。
あの場所に戻りたいとは思わない。あの人とあの時、あの記憶にもう少し浸りたいだけ。
記憶は触れないものほど美しい。
日々の逆光で見えなくなった記憶ほど。